陶芸家・小池智久さん
工房 煌藍窯(おうあいがま)
小池 智久
陶芸家として新人ということでしょうか。
新人ですね(笑)
東大阪市にある近畿大学という大学で陶芸をやり始めて、今年で8年目になります。
大学では5年くらい学んで、その学んだ中から自分なりに作陶するのが3年目です。
在学時は神戸に住んでたんですが、2005年に長野に帰ってきました。その後、萩原先生に師事しています。
もともと陶芸家になりたいと思っていたのですか?
芸術に漠然と興味があったのが始まりです。
大学のコース選択でたまたま陶芸に出会って、そこから陶芸にはまっていったという流れです。
育った環境が、ものづくりに近かったというのもきっかけだと思います。
小さいころ、母親がレザークラフトの講師をやっていたんです。その姿をずっと見てたこともあって、ものづくり自体自然と自分のとなりにありました。
作風について
ロクロを使った作陶が主です。
あと、日常使いの器を自分で作って使いたいという想いがあるので、作っているものは学生の時から基本的に何も変わっていないと思います。
大学ではロクロ以外にも色々な課題があったんですが、基本的にはロクロで器を作ったりしてたので、今も全く変わっていないです。
自分ならではの表現という部分では、今それを一番模索しているというか、自分のカラーがまだはっきりと決まっていないです。
先日の展示会では『織部』がメインだったと思うのですが、こだわりがあるのでしょうか。
『織部』に一番こだわっています。
大学の卒業制作のテーマが織部でした。
その延長線上というか、まだ自分なりの結論が出ていない部分もあるので、ずっと織部にはこだわっていきたいなと思っています。
『織部』のことを簡単に説明して頂けますか?
陶器を焼く前に塗る『釉薬(うわぐすり)』というのがあるのですが、織部釉(おりべゆう)の場合、仕上がりが独特な緑色になるんです。この織部釉を使った焼き物のことを『織部』と言うんです。
桃山時代から続いているのですが、陶芸の歴史の中では織部釉が登場した事で、ルネサンスじゃないですけど、そのくらい革命的な流れが生まれたんですね。
造形的に今までの陶芸の流れと全く違う流れが生まれるきっかけとなった釉薬なんです。
そういう部分にもやはり魅かれますね。
神戸から長野に移り住んで作陶活動を始めたわけですが、長野はどうですか?
神戸に住んでいたら多分陶芸は続けていなかったと思います。
というのは、ああいう雑然とした中で、本当にものを作っていけるのかな?って当時から思っていたんですね。
陶芸をするなら長野だと決めていたので長野に帰ってきたんです。
基本は自然に触れて自然のものを作っていくわけだから、周辺に自然がなければ成立しないんじゃないかと思うんですね。
独立して作陶しはじめて3年目ということですが、どうですか?
大学で作陶してた頃は、土とか釉薬の材料とか全てそろっていたので、ただ学校に行って作るという感じだったんですよ。
長野に帰ってきて自分の工房でやりはじめてからは、当然のことですが全てゼロから自分で用意しなくちゃいけないんですね。
その過程が楽しいんですよ。あるものを使うんじゃなくて、自分で調べて「こうなる・ああなる」という試行錯誤が今はすごく楽しいんですね。
根本から陶芸をやっていくという過程ですね。それを楽しんでいます。
目標や将来の夢はありますか?
今は目の前のことで精一杯です。
例えば、織部で言えば「もっと良い色が出せたらいいな」とか、そういう積み重ねです。
とにかく良い作品を作りたいです。
その「良い作品」というのは、人に使いやすいと言われる作品であったり、自分自信で納得できるようなものということです。
先日の展示会で、お客様から「作品を見ていると何を盛ろうかって考えてわくわくする」とか「使い勝手が良さそう」とか、たくさん言ってもらえて、「器は料理を盛られて作品が完結する」ということに気付きました。
絵画に例えれば、僕の作った器なんて所詮はキャンバスというか、下地の紙でいいと思います。
そういう風に料理を作る人にとって使いやすくて、料理を引き立たせることのできる良い器を提供していけたらと思います。
現代って、100円ショップとかで大量に陶器が売られているじゃないですか。そういうものに対して思う事はありますか?
お互い比べるつもりはなくて、全く別のものだと僕は思っています。
それをあえて比べるとすると、僕の作った器は、自分の手作りで、これ一個しかないものだという事が僕の中の支えですね。
どちらを選ぶかはお客様次第だと思います。
普段心がけている事は何かありますか?
土に感謝をする気持ちを忘れないようにしていきたいです。
土を無駄にしたら成立しないと思いますし。
和める瞬間ってありますか?
お酒を飲んでいる時ですかね(笑)。
自分の作った器で、友人たちとお酒を飲んで話しをしている時が楽しいですね。
