ナチュラル料理研究家 宮沢久美子さん
宮沢久美子(みやざわくみこ)
1977年12月13日生まれ
地球にやさしい、身体にやさしい、をテーマに活動。食べ物だけではなく、ライフスタイルの提案や、癒しの本質を追究。毎年、比叡山延暦寺御修法(みしほ)の奉餐に参加。2007年で6度目となる。2006年には「権典司」という称号を授与される。
2005年8月、マクロビオティックと麻をコンセプトにしたカフェ「おーがにっく 和 カフェ 和みや優麻」をオープン。
今の仕事を選んだきっかけは何ですか?
四人姉妹の長女なんですよ。長女ということもあってか、小さな頃から母親のお手伝いをする機会が多くて、あたりまえのように料理をしていました。
母は徹底した自然食は、やってなかったけれど、やっぱり着色料などの危険性への関心はあったようです。
私が専門学校に通って調理師免許を取得した頃、両親はソバ屋(長野市稲里:仁王門屋)を始める頃で、そば屋を手伝うようになりました。
母の実家が戸隠にあるんですけど、そこでおばあちゃんがソバ屋をやってたんですよ。今は母の弟、私のおじさんがやってます。
そのお店の暖簾分けみたいな形で長野市稲里でやっているわけです。
はじめはソバ屋さんで修行したんですね。
その頃は自然食はあまり知らなかったんですが、精進料理にはすごく興味がありました。
精進料理を学ぶなかで、「食」を通しての癒しや健康法を追求していたら「マクロビオティック」という食事法に出会ったんです。
独学で理解していくなかで、その食事法にすごく衝撃を受けました。いままでの当り前だった常識がくつがえされてしまったんですね。
本来の人間らしく生きていくっていうのは、どういうことなのかという真実を知ったときに、そういった価値観や食事法を多くの人に伝えたい、発信したいという思いにかられたんです。
その価値観は、当然環境問題にもつながってくるので、「麻」の重要性を融合させてお店をやりたいと思ったんですね。
母にマクロビオティックと麻のお店をやりたいと相談したら、「このそば屋を改造してもいいよ」って言ってくれたんですよ。それで、そば屋の一角を改造して私のお店にすることにしたんです。父はもともと建築の仕事をしていたので、内装とかもやってくれたんですよ。
「マクロビオティック」について教えて頂けますか?
「マクロビオティック」というのは、広い意味があるのですが簡単に言えば「長寿法」です。
キーワードとしてあるのが、「身土不二」「医食同源」「一物全体」です。
「身土不二」というのは、その土地でとれたものを食べること、旬のものを食べることにより、身体は元気でいられるという意味です。
「医食同源」というのは、医療と食事は体を良くするということでは同じものですよ、という意味です。
「一物全体」というのは、葉っぱから根っこまで全部をいただくことがバランスがとれた食生活なんですよということを言っているんですよ。
一般的には、皮をむいたりとか、葉っぱをとったり、灰汁をとったり、という調理法ですよね。
現代の野菜は農薬の関係とか色々あって皮はむいているんだと思うんですけど、それだと何の栄養素もなくなっちゃうんですよ。
無農薬野菜の皮付きの栄養素と比較すると5倍以上も違うんですね。
なるほど、理にかなった調理法ですね。
現代って、当り前のように食べ物が手に入って、食べてるじゃないですか。
そういう中で、食べ物に対するありがたい気持ちが欠けちゃってて、いろんな問題を引き起こしているような気がするんですね。
私が大事にしている部分は、無農薬だからとかそういうことだけではなくて、作り手の苦労・気持ちを大事にしたいと思うんですよ。
目に見えない部分ですよね。
「麻」に興味を持つきっかけは何でしたか?
「麻」に関しては、周辺にナチュラルなライフスタイルを送っている人が沢山いるんですけど、その人たちに「麻」の話を聞いてから興味を持ち始めたんですね。
それからは自分で調べ始めて、歴史とか古い文献とかを読んでいくうちに、「麻」は日本にはなくてはならないものなんだということを知ったんですね。
母方のおじいちゃんが、「麻」は昔ずっと作っていたよって、言っていました。
「麻」を作ってその裏作でソバを作ってたから昔のソバは美味しかったんだって…。
「麻」が畑の土を良くしてくれて良いソバが育つ。麻にとってもソバを植えた後の畑では良い麻が育つ、という相乗効果があるんですね。
冬には「麻」を編んだりとか、そういう生活を当り前にしてたんですけど、現代ではアメリカの石油産業などによって、日本本来の文化を持っていかれてしまっているんですね。
現代でも「麻」は自生で、沢山生えているみたいですよ。でもそれを行政で刈って燃やしているみたい。エネルギーを使ってエネルギーを燃やす、という悪循環で。
無駄ですよね…。
宮沢さんの料理法のスタイルを教えてください。
料理も芸術的なものだととらえているんですよ。
作っててそうなんですけど、見た目も美味しそうだと思うことって大事だと思うんですね。だから美しさというのは大事にしています。
植物性で、旬の素材だけでもこれだけのことができるということを一つのスタイルとしています。(お客様の中には動物性を使っていないの?、って驚かれることもあります。)
料理も芸術的な感性って必要ですよね。
「マクロビオティック」では、できるだけ素材のうまみを活かすために、人間の手をあまり加えないんですよ。
食べ物が持っているエネルギーで、陰性と陽性のエネルギーの使い方をするんですよ。
陽性は求心・下降していくエネルギー、陰性は拡散・上昇していくエネルギーなんです。そういうエネルギーをお鍋の中で利用するわけです。
例えば、玄米を中心に考えた時、人参は陽性なんですね。それは、実際の畑での状態を思い浮かべると分かると思うんですけど、人参って土の中に下降していくじゃないですか。だから陽性なんですね。葉ものは上に伸びていく(上昇)ので陰性なんですね。
料理をする時にも葉ものとか陰性のものを下にするんですよ。それで、根菜類とか陽性のものを上にするとエネルギーが混ざり合って美味しくなるっていう料理方法なんですね。だからガチャガチャとかき混ぜるということはないんですね。
野菜の切り方にも陰・陽というのがあって、バランスよく切るんです。
こういう感じで奥が深いんですけど、面白いです。
勉強になりますね。こういう調理法が一般的になったら良いですね…。
実際に料理教室も主催しているんですよ。ちなみに、コースを紹介します。
◎マクロビオティックの基本から学ぶコース
◎マクロビオティック1DAY体験
◎出張料理教室 などです。
松本・諏訪・伊那などでも月1回のペースで行っています。
長野県に対してはどうですか?
長野は大好きです。
自然も豊かだし、そういう所だからこそ長野から情報発信をしていけたらと思っています。
麻は長野に縁が深いんですよ。
長野はもともと麻が付く地名が多いですよね。現在は少ないですけど、松本の浅間温泉や小谷村とかも、もともとは「麻」っていう文字が付いていたらしいんですよ。
現在も美麻とか麻績とか、少しはありますけど昔はもっと多かったようです。
それに長野はもともと麻栽培が盛んだったこともあって、今でも麻を作ろうっていう活動はあちこちでありますよね。
目標や将来の夢を教えてください。
大きく言えば世界平和です。
実際に食べたものが身体を作っているというのは事実なので、そこから性格とか感情とかも作っているので、食べ物を変えることによって世界を変えるというのは大きなことですけどね… 夢ですね。
自分の夢としては、自給自足できるようなライフスタイルが目標です。
自分で野菜を作って、提供できるような、全部自分でまかなえるような状態が夢です。
普段心がけている事は何かありますか?
自分が「楽しく」いることです。
無理にではなくて、自然にそれができるように心がけています。
あなたにとっての「和み」は?
食べているとき、リラックスしているときですね。
あと、料理をしているときも「無」になるので、自分にとってはひとつの瞑想で、和んでいるかもしれません。
このお店も「和みや優麻」っていう名前ですし(笑)
